国内で出版されたラグタイム関連書籍
10日でおぼえるPerl/CGI入門教室 第2版
著者 : 高橋大吾
ISBN : 4798109703
定価 : 2,940円
発行 : 株式会社 翔泳社
プログラミング言語のPerlを10日間でおぼえようというコンセプトの本です。1日につき1つのプログラミングがとても詳しく解説されており、お神籤やアクセスカウンターなどの比較的簡単なCGIプログラムから、認証システムやゲームなどの高度なものまで、この本一冊でマスターできるようになっています。この本に付属しているCD-ROMには、私が作ったMIDIファイルが掲載されています。9日目のプログラムの「ノベル・ゲーム」のBGMとして、James Scottの“The Ragtime Betty”が使用されています。翔泳社のSEShop.comにて購入できます。
ガイドブック音楽と美術の旅「アメリカ」
著者 : 音楽之友社 編
発行者 : 株式会社音楽之友社
世界の音楽と美術を紹介する「旅行ガイドブック」で、他にドイツ、イギリスなど計10冊刊行されています。 地域・都市別に美術館や博物館からライブスポット、ジミヘンの墓まで、その土地にゆかりのあるものが幅広く紹介されていますが、ラグタイムについてはほとんど解説がなく、中心記事にも取り上げられていないのは残念です。(やはりジャズ、ロックや有名交響楽団の記事が中心です。
《関連記事の場所》 32ページ目:コラム「アメリカで生れたオペラ」に一部紹介記事あり。
《関連記事の内容》 (略) むしろ、ラグタイムの作曲家、ジョップリン Scott Joplin の≪トリーモニシャ Treemonisha≫[1908〜11、未完]の方が、上演の機会には恵まれなかったものの、創造性では抜きん出ている(1975年、ヒューストン・グランド・オペラで初演)。(略)
《関連記事の場所》 167ページ目:巻末インフォメーション「主なクラシック作曲家」に一部紹介記事あり。
《関連記事の内容》 スコット・ジョップリン Scott Joplin (1968〜1917) ラグタイム作曲家。≪オリジナル・ラグ Original Rags≫[1899]、≪メープル・ リーフ・ラグ Maple Leaf Rag≫[1899]などが有名。
(この紹介文は、青木さんよりお寄せ頂きました。情報の提供ありがとうございました)
カンザス・シティ・ジャズ ビバップの由来
著者 : ロス・ラッセル
訳者 : 湯川 新
ISBN : 4-588-02151-6
定価 : 4,841円(税込)
出版 : 法政大学出版局
「Ross Russell: Jazz Style in Kansas City and the Southwest(1971)」を全訳した本です。この本を読むことにより、1920〜40年代において新しいスタイルのジャズがどのようにして生まれたのかを知ることができます。第6章の「ラグタイム」には、スコット・ジョプリン、ジェームス・スコット、ブラスバンドやケークウォークについての10ページほどの記述があります。
(この書籍の情報は、山崎さんに教えて頂きました。情報の提供ありがとうございました)
キーボードマガジン別冊「ピアノフォルテ」
雑誌ナンバー : 02828
価格 : ?円 ○
発行所 : リットーミュージック
No.1〜3に「ラグタイム・ピアノ・セミナー」として、長瀬 隆子氏が演奏アドバイスをしています。リットーミュージックの楽譜集「スコットジョプリン・ラグタイム名曲集」の序文とほぼ同じですが、「スクール・オブ・ラグタイム」の練習法が記載されています。ただし、古い雑誌で1は昭和63年10月、2は昭和64年1月、3は平成元年11月発行のため、とても手に入りにくいと思われます。No.1〜3にわたって「エンターテイナー」の演奏アドバイスが書かれており、これがメイン記事となっています。その他に、No.1にはラグタイムの最盛期の時代背景と、スコット・ジョプリンの生涯が語られています。No.2に、「スクール・オブ・ラグタイム」の6つの練習曲それぞれについて、特徴と弾き方のポイントが書かれています。No.3には、ラグタイムのスタイル、コマーシャル・ラグ、クラシック・ラグ、イースト・コースト・ラグとユービー・ブレイクについて書かれています。この雑誌は、他にも、ビートルズやガーシュインの記事などあっておもしろく、広告はほどほどで良かったのですが、いつの間にか見かけなくなってしまいました。
(この紹介文は、山崎さんよりお寄せ頂きました。情報の提供ありがとうございました)
ジャズの歴史 その誕生からフリー・ジャズまで
著者 : フランク・ティロー
訳者 : 中嶋 恒雄
ISBN : 4-276-23251-1
定価 : 5,400円(税抜)
発行 : 株式会社音楽之友社
「Frank Tirro “JAZZ a history” W.W.NORTON & COMPANY,New York・London,1977」を全訳したジャズの歴史書です。19世紀後半のアメリカ合衆国の音楽から始まり、アフリカの音楽、ジャズという名前が現れる以前のジャズ、そしてラグタイムと、多くのジャズ解説書が余りページを割かない部分に多くのページを割いています。ラグタイムは一つの章として扱われており、ラグタイムの歴史、音楽的特徴、作曲家たち、等々、25ページにも渡って書かれています。とても充実した内容です。ラグタイム、ブルース、ジャズの歴史を学ぶのに最適の書ではないでしょうか?
ジャズ入門
著者 : エドワード・リー
訳者 : 小木曽 俊夫
ISBN : 4-276-23264-3
定価 : 2,200円(税抜)
発行 : 株式会社音楽之友社
1972年に出版されたジャズの入門書です。ジャズをアフロ=アメリカン音楽という大きなグループの1つとして扱っているのが、本書の特徴です。ラグタイムに関する記述は、第3章の「ニューオリンズにおけるジャズの起こり」にあります。およそ6ページに渡り、解説がなされています。用語の解説や、曲の分析、文献やレコードの案内も付いています。
ニューグローブ 世界音楽大辞典 第19巻
紹介部分の解説 : William Bolcom
訳者 : 村田 公一
価格 : ?円 ○
発行 : 講談社
タイトルどおり「世界」の「音楽」の「大辞典」ですが、ラグタイムについては約6800字くらいのボリュームで丁寧に解説されています。内容は以下の7つの項目に従って説明されており、辞典にありがちな「紋切り型」の説明と違った実に「読ませる」文章となっています。と思ったら、どうも執筆が「William Bolcom」氏のようです。 項目:1定義と起源 2特徴 3ピアノロール 4ジョップリンと「古典的」あるいはミズリーのラグタイム 5東部のラグタイム 6ロバーツ、ジョンソン、ブレイク 7衰退と復興
《関連記事の場所》 140ページ目:「ラグタイム」として本編。「ラグタイムダンス」の楽譜表紙とメープル・リーフ・ラグの参考譜例(2小節)あり。
《関連記事へのコメント》 執筆者のラグタイムに対する独自の視線と深い造詣、愛情が感じられる内容の濃い文章です。個人で購入するのは(多分バラ売りはないと思うので、金額的にも)難しいでしょうから、お近くの図書館にぜひ置いてもらいましょう!以下に、この執筆者に特徴的と思える説明を引用してみました。
1 定義と起源 より 「しかしラグタイムの重要性は、それが何を新しく作り出したかということよりも、何を強調していたかにある。」
3 ピアノロール より 「ラグという形式の不思議な魅力は、したがって上述のような堅固な鋳型の中に注ぎ込まれることから生じる想像力の豊かさによるものであり、最もすぐれた作曲家によるラグでは、形式と素材の間にソネットのような緊張感が生まれている。しかし力量の劣る音楽家たちにおいては、ラグは単に覚えやすい節をつなぎ合わせたものにすぎなかった。」
7 衰退と復興 より 「古典的なラグタイムをアメリカの格調高いピアノ音楽の重要な一種類と見なすようになった。(略)そこに現れているのは郷愁的な態度というよりも、再発見されたばかりのこの巨匠ジョップリンに対する敬意であり(略)音楽史家の間に、ラグタイムはアメリカ音楽に顕著な諸特徴を初めて、そしておそらく最も成功した形で融合させたものであるとの見解が確立されていた。」(William Bolcom 解説 村田公一 訳 「ニューグローブ世界音楽大辞典」第19巻)
(この紹介文は、青木さんよりお寄せ頂きました。情報の提供ありがとうございました)
ポピュラー音楽の基礎理論
著者 : ピーター・ファン=デル=マーヴェ
訳者 : 中村 とうよう
協力 : 横関 裕子、守屋 純子
ISBN : 4-944409-16-4
定価 : 3,500円(税抜)
出版 : 株式会社ミュージックマガジン
「ポピュラー音楽の成り立ちを理論的に解明した初めての本」・・・だそうです(オビにそう書いてあります)。第IV部に「パーラー音楽とラグタイム」という章があり、第29章(最後の章)の「ラグタイム」では、「ジグからラグへ」と「ラグタイムとブルース」という2つのテーマが扱われています。本文に対応した譜例が実に沢山載せられているので、理解がし易いです。また、事項や人名、曲名でのページ検索も可能な作りになっています。(1989年に出版された本「Origins of the Popular Style - The Antecedents of Twentieth-Century Popular Music」の完訳です)
ラグタイム
著者 : E・L・ドクトロウ
訳者 : 邦高 忠二
ISBN : 4-15-040882-3
定価 : 840円
発行 : 株式会社早川書房
1975年にE・L・ドクトロウさん(E. L. Doctorow)によって書かれた傑作小説です(*注:“ピアノラグタイム”を解説した本ではありません、“ラグタイム”という題名の小説です)。今世紀初頭のアメリカを舞台にして、実在の人物を絡めたスケールの大きな物語が繰り広げられます。この小説は大ベストセラーになり、1981年には映画監督のミロス・フォアマン氏によって映画化されました。1998年には、ミュージカル化が実現し、ブロードウェイで上演され、絶賛されました(1998年度のトニー賞で4部門受賞)。
(この小説の情報は、石井さんに教えて頂きました。情報の提供ありがとうございました)
絵本で読む音楽の歴史(8)「ジャズの歴史」
著者 : ジュゼッペ・ヴィーニャ
訳者 : 小松 博
発行者 : 株式会社ヤマハミュージックメディア
クラシックを中心に色々な音楽を紹介する絵本のシリーズで、ブルースとニューオリンズジャズは本編で取り上げられていますが、ラグタイムについてはコラムのみの記述です。本編では奴隷制度から21世紀のジャズまで、歴史を追って幅広く取り上げられています。
《関連記事の場所》 13ページ目:本編「ブルース」の右側にコラムとして。メープル・リーフ・ラグのシート楽譜表紙あり。
《関連記事の内容》 ◆ラグタイム 19世紀末、ジャズのもとになったもうひとつの音楽スタイルが現れます。 本来ピアノのために作られた、活発でリズム感溢れるラグタイムです。 この言葉は、ぼろという意味の”ラグ”と時間の”タイム”とを合成してできています。ラグタイムは絶えず加速されシンコペートされる軽快なリズムに特徴があります。 最初はピアノや穴を開けたロールが回転するピアノラ(自動ピアノ)で演奏されていましたが、やがてオーケストラのための音楽へと進化します。 ラグタイムを代表するミュージシャンは、ピアニストで作曲家のスコット・ジョップリン(1868-1917)です。 ジョップリンの<メープルリーフ・ラグ>はラグタイムのシンボルとなりヨーロッパでも人気を呼びました。 彼の音楽はジェームス・P・ジョンソン(1894-1955)、ファッツ・ウォーラー(1904-1943)、ウィリー・ザ・ライオン・スミス(1897-1973)、ジェリー・ロール・モートン(1885-1941)といったジャズ初期のピアニスト達に影響を与えました。 (上図は<メープルリーフ・ラグ>の楽譜の初版の口絵)
(この紹介文は、青木さんよりお寄せ頂きました。情報の提供ありがとうございました)
初期のジャズ その根源と音楽的発展
著者 : ガンサー・シューラー
訳者 : 湯川 新
ISBN : 4-588-02170-2
定価 : 5,974円(税込)
出版 : 法政大学出版局
「Gunther Schuller, Early Jazz, Its Roots and Musical Development, New York, Oxford University Press, 1968」を完訳した本です。初期から1930年の録音を通して、ジャズの変容の歴史を追う本格的な研究書です。譜例や解説が充実しており、初期のジャズとラグタイムの関係を学ぶのに最適な書であると思います。
(この書籍の情報は、山崎さんに教えて頂きました。情報の提供ありがとうございました)
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