Rag Time Betty - A Young Person's Guide to Ragtime
 
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ラグタイムの鑑賞(MIDIとMP3ファイル)

Maple Leaf Rag

Composer : Scott Joplin
Copyright : September 18, 1899
Publisher : John Stark & Son.
Structure : AA BB A CC DD
MIDI File : Download (18Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (1999)

 メープル・リーフとは、楓の葉っぱのことです。楽譜の表紙にも楓の葉が大きく描かれています。この曲名は、アメリカのミズーリ州、セダリア市にあった社交クラブの“Maple Leaf Club”に由来します。ラグタイム史上屈指の名曲であり、ラグタイムの代表曲とも言うべき曲です。当時、この曲の楽譜は飛ぶように売れ、スコット・ジョプリンは一躍スターダムにのし上がりました。

 この曲が売れてからというもの、スコット・ジョプリンの作品には、“Composer of Maple Leaf Rag”(メープルリーフラグの作者)という宣伝文を付けて売り出すことが多かったようです。それほどまでに、この曲が当時大人気だったということです。

Peacherine Rag

Composer : Scott Joplin
Copyright : March 18, 1901
Publisher : John Stark & Son.
Structure : INTRO AA BB A CC DD
MIDI File : Download (16Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (2002)

 聴いていると、何だか気分がウキウキしてくるような、とても明るい雰囲気の曲です。1999年のイタリア映画、「The Legend Of 1900(海の上のピアニスト)」で、この曲がかかった時には、小躍りしたくなるくらい嬉しい気分になったものです。ラグタイムの音楽的な魅力がいっぱい詰まった名曲だと思います。

 Cセクションでは、32分音符が出てきますが、この32分音符があることによって、引き締まった雰囲気の楽節となっています。また、Dセクションの畳み掛けるようにエンディングへと向かっていくところは、この曲最大の聴き所です。

The Easy Winners

Composer : Scott Joplin
Copyright : October 10, 1901
Publisher : John Stark & Son.
Structure : INTRO AA BB A TRIO-INTRO CC DD
MIDI File : Download (16Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (2002)

 この曲発表当時、スコット・ジョプリンの楽譜を扱っていた出版社の社長、ジョン・スタークは、演奏が難しすぎるということで、この曲の出版を断っていたのだそうです。しかし、最終的にはジョプリンのオリジナル印刷図版を用いて出版したという記録が残っています(“Joplin's Favorite(ジョプリンのお気に入りの曲)”として売り出したそうです)。

 CセクションとDセクションは、同じエンディングを用いています。でも、全然違和感はありません。異なるセクションで同じエンディングを用いるなんて、とてもユニークな発想だと思います。また、Dセクションのエコーのような効果を生み出す技法も、発表した年からすると非常に先駆的なアイデアです。さすがはジョプリン、ラグタイムの王様と言われるだけのことはあります。

Elite Syncopations

Composer : Scott Joplin
Copyright : December 29, 1902
Publisher : John Stark & Son.
Structure : INTRO AA BB A CC DD
MIDI File : Download (15Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (1999)

 1912年4月、イギリスの豪華客船タイタニック号沈没の際に、最期まで演奏を続けていた楽団、ホワイト・スター・オーケストラの話はご存知でしょうか? その楽団の演奏リストにもこの曲は載っていました。楽団は他にもラグタイムを演奏していたらしいですが、この曲がタイタニック船上で演奏されていたことを想像すると、ジョプリンが生きていた時代のイメージがより深まるのではないでしょうか?

 クリシェを使ったAセクションの冒頭、リリカルなBセクション、音の跳躍が印象的なCセクション、特に力強いDセクション。どのセクションをとってもアイデアがいっぱい詰まっており、無駄や隙のない理想的な構成のラグタイムだと思います。

The Entertainer

Composer : Scott Joplin
Copyright : December 29, 1902
Publisher : John Stark & Son.
Structure : INTRO AA BB A CC INTRO-2 DD
MIDI File : Download (17Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (2001)

 1974年には全米ポップチャートのトップ10に顔を出したこともある、とても有名な曲です。映画「スティング」でもおなじみの曲です。ラグタイムを知らない人でもこの曲のメロディーは知っている人は多いと思います。現在でもTV番組やCMなどでたまに耳にすることがあります。

 オリジナルのピアノ・ソロ・バージョンと、“The Red Back Book”を元にしたオーケストラ・アレンジ・バージョンの2種類のMIDIファイルを用意しました(曲名のリンクはピアノ・ソロ・バージョンです)。オーケストラ・アレンジ・バージョンは、ローランドのSC-88音源で制作しました。(オーケストラ・アレンジの方は、音源をお持ちでない方にも聴いていただけるようにMP3ファイルも用意しました。ぜひ一度聴いてみて下さい。)

The Ragtime Dance

Composer : Scott Joplin
Copyright : December 21, 1906
Publisher : John Stark & Son.
Structure : INTRO A B CC INTRO-2 DD EE FF G H I
MIDI File : Download (56Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (2001)/ Mr. Ron O'Dell fixed GM data. (2002)

 1899年に作られたミュージカル形式の作品です。セダリア市のウッズ・オペラ・ハウス(Wood's Opera House)で初演されました。舞台では、4組のカップルがバレエを踊り、ジョプリンがピアノを演奏しつつ指揮をしたそうです。楽譜は1902年にスターク社から出版されましたが、商業的には失敗したと伝えられています。その後の1906年には、曲をまとめて作り直した楽譜が出版されています。

 「The Entartainer」と同じく、“The Red Back Book”を参考にしてオーケストラ・アレンジに挑戦しました。変化に富んだ長い作品なので、データ打ち込みが大変でした。

 2002年6月、Ron O'Dellさんより、私が打ち込んだMIDIファイルにミスがあるとのご指摘をいただきました。現在公開しているMIDIファイルは、Ron O'Dellさんに修正していただいたファイルです。Ron O'Dellさん、本当にありがとうございました。

The Chrysanthemum

Composer : Scott Joplin
Copyright : 1904
Publisher : John Stark & Son.
Structure : INTRO AA BB A CC DD C
MIDI File : Download (17Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (2002)

 Chrysanthemum とは、“菊”の花のことです。シート・ミュージックの表紙には、見事な菊の花が描かれています。曲の構造では、Cセクションが最後にもう一度演奏される点が特徴です。とても美しい曲で、菊の花を連想させるようなメロディーが印象に残ります。

 菊の花は、1904年のセントルイス世界博覧会のテーマであったそうです。そこで、ジョプリンは菊の花をテーマに曲を作ったのだそうです。副題は、An Afro-American Intermezzo (アフロ-アメリカン・インテルメッゾ)です。Intermezzo とは、オペラ・演劇で演奏された間奏曲のことです。

Gladiolus Rag

Composer : Scott Joplin
Copyright : September 24, 1904
Publisher : Jos. W. Stern & Co.
Structure : AA BB A CC DD
MIDI File : Download (18Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (1999)

 紫色のグラジオラスは“情熱的な恋”、ピンク色のグラジオラスは“ひたむきな愛”。何のことかわかりますでしょうか? 答えは、グラジオラスの花言葉です。この曲は、Dセクションの最後で転調をするところが妙に印象に残ります。全体として統一感があり、本当に素晴らしいラグだと思います。

 調の選択といい、展開の仕方といい、名曲「Maple Leaf Rag」と共通点の多い曲です。映画“スティング”では、「Ragtime Dance」とミックスしたアレンジのDセクションが使われていました。

The Ragtime Betty

Composer : James Scott
Copyright : October 5, 1909
Publisher : Stark Music Co.
Structure : AA BB A CC DD
MIDI File : Download (18Kb)
GM Data Programming : K. Muromachi (1999)

 本ウェブサイトのタイトルは、この曲から取りました。楽譜の表紙に描かれたエキセントリックな女性の絵が、とてもユニークで気に入ったので、ウェブサイトのタイトルにしようと決めました。後日、この絵は、Clare Victor Dwiggins (1874-1959)という著名な漫画家・イラストレーターによるものだということを知りました。ジェームス・スコットの曲の中ではあまり有名な曲ではありませんが、素晴らしい曲なので、もっと皆さんに知っていただきたいと思っています。

 Aセクションの冒頭は、Scott Joplinの「Fig Leaf Rag (1908)」に似ています。締めくくりのDセクションは、フレーズの応答(コール・アンド・レスポンス)が心地よいです。全体を通してロマンティックな雰囲気の名曲です。

 2001年、翔泳社さんが出版されている書籍“10日でおぼえる Perl/CGI入門教室”に上記のMIDIを掲載して頂きました(CGIで作成するノベルゲームのBGMとして使用されています)。著者の高橋大吾さん、本当にありがとうございました。書店でこの本を目にしたら、ぜひ手に取ってみて下さい。